ホーチミンの日々

先日のハノイ出張の時。
通路を挟んで右斜め前の女の子。年の離れた弟のはしゃぐ姿を「これだから男は、、、」と冷めた目で見ている。ベトナム人も家族を冷めた目で見ることはあるのかと眺めていた。
今は思春期なのだろうか。他人と違う（服装の）自分に酔いしれているのだろうか。中二病という言葉はベトナムにはまだ輸入されていないだろうし、そもそも中二かもしれない。
いや、なぜこの女の子を眺めることになったのかというと、好みのタイプだとか、いい香りがするだとかそういうことではなく、まとっている服がその原因であった。

なんか漢字がチラチラと見える。しかも、刺繍である。
今入ってきている情報は、「天使盟」「南」「京介」「走部」そして左腕の「天我独尊」

最後の天我独尊は、天上天下唯我独尊がテキトーに省略されたのだろう。
まぁ、ベトナム人は仏教徒だし、お釈迦様の言葉は使いたいだろう。

天使盟は、なんだろう。天使連盟的な感じ？いずれにせよ意味が分からない。

南。これは越南（ベトナム）だろう！賭けてもいい！そうであってほしい！

京介。まぁ、氷室が妥当な線だが、ここはあえてすごいよマサルさんの作者である「うすた京介」に賭けてみたい。うすた京介だったら、この子の服装は圧倒的に時代の最先端を行くことになる。

「走部」。陸上部のユニフォーム？にしては空気抵抗受けまくりの作り。絶対に良いタイムは出ない。
いや、あえてこの服で練習することで本番に羽が生えたように早く走れるのではないのか？
ピッコロが着けていた重たいのに風になびく矛盾をはらんだマントみたいなものかもしれない。

さて、ホーチミンに到着し、みんな飛行機から降りる準備を始めた。
件の女の子も立ち上がり通路に立った。チャンス！これで全容が明らかになる！
しかし、ここはベトナム人。目の前の人が必要以上にその女の子に詰めて、さらに横からも詰めてくるので結局半分しか見えない。


追加情報が得られないまま、機外へ。ここで密集が解かれスペースができた。今度こそチャンス！
メッシばりのステップで数人をかわしてすべてが見えるポジションへ。

な、なんと！！
正直分かってたけど、やはり特攻服だった。
暴走天使盟（チーム名）：ベトナム人は皆ある意味暴走してるので、それを差っ引くともう天使ということ。つまりベトナムのエンジェルたちの集団。
湘南（地名）：たぶん越南の印字ミス（譲れません）
真樹京介（個人名）：真樹って！そんなん大穴でもなくてエントリーもされてへんわ！
暴走部（部署名）：じゃあ天使部もあるの？

何度も「この意味知ってるん？」と話しかけたくなったが、ここで弟たちの前で恥をかかせたら、中二病の彼女はプチ家出とかしてしまうかもしれないのでグッとこらえて、
でもブログ用に「最高にクールな服なので」と断りをいれたうえで、写真だけ撮らせてもらった。
まんざらでも無い表情とはまさにこのことを言うのだろう、というくらいの彼女のまんざらでもなさだった。



頭の中では湘南乃風の睡蓮花が流れていた（ベトナムなだけに）、なんてことは無い。